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「家事をしない夫」を変える!認知行動療法で紐解く、妻がうつ病になるメカニズム

カウンセリングしている人

認知行動療法の概要


認知行動療法は、気分(感情)や行動に影響を及ぼす認知 (現実の受け取り方やものの見方) に働きかけることで、心のストレスを軽くしていく精神療法のことです。


たとえば、あなたが女性であれば、男性Aさんが自分のことを嫌っていると人づてに聞いたとします。すると「BさんもCさんも同じに違いない」と、実際にそう聞いたわけでもないのに極端なマイナス思考に陥ってしまうことが少なくありません。その結果、気持ちは沈み、恋愛や社交に対する気力も失せてしまいます。認知行動療法は、このような極端な思考、いわゆる“認知の偏り”を見つけ出し、思考のバランスを整えることで、精神的な問題の解決をめざします。


1960年代に、アメリカの精神科医アーロン・ベック (Aaron T Beck) がうつ病に対する精神療法として「認知療法」を提唱しました。一方、1950年代から発展してきたのが情緒的な問題に行動面から介入を試みる「行動療法」です。1980年に入ってからこの2つの統合と併用が進み、臨床試験でさまざまな精神疾患に対する有効性が示されています。


対象となる方

認知行動療法の理論や考え方、技法は、精神医療の分野だけでなく、身体疾患や生活習慣、 産業保健分野、教育分野などさまざまな場面で活用されています。


4つの側面に注目する

認知行動療法の基本となる考え方が認知行動モデルです(下図)。

 

認知行動療法の共通基盤マニュアル

(http://jact.umin.jp/manual/ P.11-14 最終閲覧日:2023年10月20日)より作成


 

「認知」は何かしらの出来事に遭遇した時に頭に浮かぶ考えのこと、「気分」は喜びや不安、 悲しみ、怒りなどの感情です。「行動」は実際に何かをすること、「身体症状」は痛みや疲れなど体に生じるさまざまな症状のことをいいます。


たとえば、妻が夫の好きな食べ物を一生懸命作ってあげたのに、次の休みには夫が子供を自分に押し付けて遊びに行ってしまったとします 【出来事】。「夫は私の努力を全く大事にしてくれない」という考えが頭に浮かび 【認知】、悲しみや怒り、寂しさが胸の中に広がります 【気分】。その後、妻は我慢と葛藤を感じながらも家事を行い、夫とほとんど口をきかずに過ごしてしまう 【行動】。夜になると、ストレスから頭痛や肩こりがひどくなり、なかなか寝付けません 【身体症状】。リラックスしようとテレビを見たりお茶を飲んだりしても、夫への不満や寂しさが頭を巡り、ますますイライラや焦りが募り――このように4つの側面は相互に影響しあい、悪循環を生み出すこともめずらしくありません。


認知行動モデルではこの4つの側面に注目します。適切な治療を行うためには、それぞれの内容やつながりを整理、分析して、問題の原因や背景を明らかにすることが大切になります。


認知療法と行動療法


認知行動モデルの4つの側面のうち、「気分」や「身体症状」は自分の意志ではなかなかコントロールができません。先ほどの例で挙げた悲しみや怒りなどの感情、動悸や頭痛は意志の力だけでどうにかなる問題ではありません。


一方の「認知」は、自分の思考に注意を向ければどう考えたかを認識することはでき、それは認知の偏りや行動を変える糸口になりえます。「行動」も同じです。物事の考え方や受け止め方を切り替えることで、行動は変えられます。


この2つに対する治療アプローチが認知療法と行動療法です。認知療法は考え方に働きかける治療法です。思考が極端に否定的、悲観的になるといった精神の病気や不調の背後にある認知の偏りを正していくことで、柔軟な、自由な考え方ができるようにします。


行動療法は、その名の通り行動上の問題の解消をめざす治療法です。パニック障害で電車に乗れない人がいるとします。家族が近所の散歩に付き添うことから始めて、 動範囲を広げていくといったアプローチは、行動療法の一例といえます。



瞬間的に浮かぶ考え「自動思考」


翌日にプレゼンを控えていて、その準備状況について尋ねられたとき、ふと「うまくいかなかったらどうしよう」「たぶん失敗する」という思考が頭の中を通り過ぎていった――プレゼンではないにせよ、似たような経験をしたことはありませんか?


何かの出来事があったとき、特に根拠もなく瞬間的、反射的に頭に浮かぶ考えやイメージがあり、これを自動思考といいます。自動思考にともなって、さまざまな感情が湧き、何かしらの行動が起こります。


自動思考が浮かぶこと自体はごく普通のことですが、問題となるのはその内容です。たとえば、うつ病や不安障害などでは、極端かつ否定的な自動思考が多くみられます。このようなネガティブな自動思考が運悪く現実のものとなってしまった場合、ますます確信を深めてしまうという悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。


自動思考をつくる「スキーマ」


自動思考の奥底には核となる信念のようなものがあり、これをスキーマ (中核信念)といいます。スキーマは、過去の経験やトラウマ、人間関係、成功・失敗体験などをもとにつくられるいわば「心の法則」です。考え方に特定のパターンやくせをもたらします。 スキーマは自動思考の生成に影響を与えます。


厚生労働省 うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル

(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/01.pdf P.19 最終閲覧日:2023年6月27日)より作成


上図の例では、単に寝不足だったり、忙しかったりするだけかもしれないにもかかわらず、「私は愛されない」という否定的なスキーマがあるため、どれもマイナスの自動思考が生じてしまっています。うつ状態のときはマイナスの心の法則が優勢になりがちで、うつ病の症状改善や再発予防には、このようなスキーマへの介入と修正が効果的であることが示されています。


家事をしない夫を持つ妻側の認知、感情、行動の分析(認知行動療法の視点から)


1. 認知(考え:自動思考とスキーマ)


妻側の認知は、負担の蓄積と不満の原因として機能します。CBTでは、出来事に対する瞬間的な「自動思考」と、その基盤となる「スキーマ (中核信念)」に注目します。


1-1. 自動思考(瞬間的に浮かぶ考え):


例:「夫は私の努力を無視している」 「私はすべてを一人でやらなければならない」 「この状況は変わらない」。


これらは根拠なく反射的に生じ、提供された文章の「マイナスな思いが蓄積し、あなた自身の精神的コントロールを失ってしまいます」に直結します。研究では、女性は家事の必要性を強く認識し、「これを今やらなければ」という自動思考が頻発し、認知負担を増大させると指摘されています。例えば、夫の放置を見ると「不公平だ」と感じ、家事を「自分の責任」として認識する。


1-2. スキーマ (中核信念):


例:「女性は家庭を完璧に守らなければならない」 「夫は協力しないもの」「私は犠牲を強いられる存在」。


これらは過去の育ち方や社会化(例: 伝統的な性役割観) に基づき、自動思考を生み出します。提供された文章の「あなたが親としての責任、家庭を守る、子どもを守る意味で家事をしているのに対して、何も気づかない夫はいったいなんなの?」は、このスキーマの影響で、共働きや育児の負担を「自分の義務」と解釈する。文化的な要因として、女性は家庭を 「自分の領域」と見なし、負担を内面化する傾向がある。


これらの認知の偏りは、妻が負担を「避けられないもの」として扱う悪循環の起点となります。


2. 感情(気分)


妻側の感情は、認知によって引き起こされ、行動を駆動します。CBTでは、感情は直接コントロールしにくいが、認知の修正で間接的に改善可能です。特に、妻が共働きで育児の大部分を担っている場合、仕事のストレスと家事・育児の負担が重なり、感情的な疲弊を増幅します。


主な感情:苛立ち、悲しみ、無力感、失望、怒り。


例: 夫の不参加に「なぜ私だけ?」という苛立ちや無力感が生じる。提供された文章の「マイナスな思いが蓄積し、あなた自身の精神的コントロールを失ってしまいます」では、負担の不公平が感情の中心。また、妻が働いていて育児も大部分を担っている場合、仕事後の 「第ニシフト」(家事・育児)が感情を悪化させ、ストレスやうつ症状を引き起こす。研究では、共働きの母親は家事・育児の不平等が精神的負担 育児の不平等が精神的負担(メンタルロード)を高め、離婚の要 (メンタルロード)を高め、 因となる場合がある。これにより、妻は「家族を支えているのに報われない」という失望が募り、感情がネガティブに積み重なる。


悪循環の例: 自動思考(「私は一人で頑張らなければならない」)が無力感を増幅し、夫の反応に対する怒りが加わり、感情が爆発しやすくなる。


感情は夫側の行動(例: 放置)によって悪化しやすく、夫婦のコミュニケーションを阻害します。


3. 行動


妻側の行動は、認知と感情の結果として現れ、問題が固定してしまいます。


主な行動:一人で家事をこなす、夫に不満を溜め込んで黙る、感情を爆発させる、諦めて負担を増やす。


例:夫が協力しないと「自分でやるしかない」と一人で家事を進める。提供された文章の対処法(例:「沈黙していたら、それは止めたほうが良い」)で指摘されるように、妻は夫の気づきを待つ行動を取るが、これが習慣化されていないため、爆発や諦めの行動に繋がる。 研究では、女性の「スーパーウーマン」 行動 (すべてをこなす)が、家事分担の不平等を維持するとされています。

 

悪循環の例:認知 (「不公平だ」)と感情 (苛立ち)が、一人で負担を抱える行動を生み、 それが夫の無関心を増大させ、妻の行動をさらに強化する(例:「夫が変わらないなら自分でやる」)。


4. 悪循環の全体像と身体症状の関連


悪循環:出来事(夫の不参加) → 認知(「私は一人で」) → 感情 (無力感) → 行動(一人でこなす)→結果(夫の協力減少、妻のストレス増)。これが繰り返され、妻のスキーマが固定化。


身体症状:ストレスによる疲労、頭痛、不眠。感情の蓄積が身体に現れ、さらに行動を制限 (例:「疲れているのに家事しなければならない」)。

 

家事をしない夫の夫側の認知、感情、行動の分析(認知行動療法の視点から)


1. 認知(考え:自動思考とスキーマ)


夫側の認知は、家事をしない主な原因として機能します。CBTでは、出来事に対する瞬間的な「自動思考」と、その基盤となる「スキーマ (中核信念)」に注目します。


1-1. 自動思考(瞬間的に浮かぶ考え):


例:「家事は妻がやるものだ」 「今は疲れているから後でいい」 「このくらいの汚れは気にならない」「妻が文句を言うならやらない方がいい」。


これらは根拠なく反射的に生じ、提供された文章の理由(「家事は女の仕事だと感じている」「気にならない」「やっても文句を言われる」)に直結します。研究では、男性は家事の必要性を「視覚的に認識しにくい」傾向があり、女性のように「これを今やらなければ」という自動思考が起きにくいと指摘されています。例えば、散らかった部屋を見ても「問題ない」 と思うため、家事を「タスク」として認識しない可能性があります。


1-2. スキーマ (中核信念):


例:「男性は外で働くのが主で、家事は女性の役割」「家庭はリラックスする場所、努力は仕事だけ」「過去の経験から家事は面倒で避けるべき」。


これらは過去の育ち方や社会化(例: 親の時代からの性役割観)に基づき、自動思考を生み出します。「状況の変化についていけない」 「家事を1人でこなす辛さがわからない」は、このスキーマの影響で、共働きや育児の変化を「自分のペースを変える必要がない」と解釈しているかもしれません。文化的な要因として、男性は家庭を「癒しの場」と見なし、家事を 「負担増」として避ける傾向があると思います。


これらの認知の偏りは、夫が家事を「見えない」または「優先度が低い」ものとして扱う悪循環の起点となります。




2. 感情(気分)


夫側の感情は、認知によって引き起こされ、行動に結びつきます。CBTでは、感情は直接コントロールしにくいが、認知の修正で間接的に改善可能です。


主な感情:苛立ち、疲労、無関心、抵抗感、罪悪感(稀に)。


例: 妻から家事を頼まれると「疲れているのに、なぜ今?」という苛立ちや不安が生じる。 提供された文章の「疲れている」「家事は女の仕事だと感じている」では、仕事のストレスが家事への抵抗を強め、無関心や苛立ちとして現れる。


悪循環の例: 自動思考(「家事は面倒」)が疲労感を増幅し、妻の不満に対する苛立ちが加わり、感情がネガティブに積み重なる。研究では、男性の家事不参加は「精神的負担(メンタルロード)」の認識不足から来ており、妻の要求を「攻撃」と感じる場合がある。これにより、夫は「リラックスしたい」という欲求が満たされず、苛立ちが募る。


感情は妻側の行動(例: 文句を言う)によって悪化しやすく、夫婦のコミュニケーションを阻害します。


3. 行動


夫側の行動は、認知と感情の結果として現れ、問題を維持します。CBTの行動療法では、 これを小さなステップで変えるアプローチが有効です。


主な行動: 家事を避ける、言い訳をする、無視する、趣味や仕事に没頭する、稀に不機嫌になる。


例: 妻が頼んでも「疲れているから」と拒否したり、放置したりする、言い訳を言われて逃げる。夫は家事を「習慣化されていない」ため、抵抗を示す行動を取る。研究では、男性の 「ゲートキーピング」 (家事の責任を女性に押し付ける行動)が、家事分担の不平等を維持するとされています。


悪循環の例: 認知(「家事は必要ない」)と感情 (苛立ち)が、避ける行動を生み、それが妻の不満を増大させ、夫の行動をさらに強化する (例: 「文句を言われるならやらない」)。


4. 悪循環の全体像と身体症状の関連


悪循環: 出来事 (妻の依頼) → 認知 (「面倒」)→感情 (苛立ち) → 行動 (避ける)→結果(妻のストレス増、夫の罪悪感や疲労)。これが繰り返され、夫のスキーマが固定化。


身体症状: ストレスによる疲労、頭痛、不眠。感情の蓄積が身体に現れ、さらに行動を制限 (例:「疲れているから家事できない」)。

 

CBTを活用した「家事をしない夫」への対処法

認知行動療法(CBT)の考え方を活用し、夫側の改善提案と妻側の対処法に「伝え方の工夫」を統合し、行動計画に落とし込みます。

1. 夫の認知と行動へのアプローチ(改善提案)

目標:夫の「家事=女性の仕事」というスキーマを修正し、具体的な行動を促す。

CBT要素 具体的なアプローチ 効果/目的
認知療法 負担の不公平を事実べースで提示し、共働き家庭における役割分担の必要性を認識させる (例:「家事は本当に女性の仕事か? 共働きなら共有すべき」)。感情的にならず、データや事実(妻の労働時間など)に基づいて話し合う。 夫の「家事は女の仕事」というスキーマに挑戦し、「気づき」を促す。
行動療法 簡単な家事からのスタート 「ゴミ捨てだけお願い」など、具体的な簡単な家事から依頼する。最初はいっしょに行動し、抵抗感を減らす。


行動の強化(リワード) 夫が家事をしたら、必ず感謝を伝える(例:「ありがとう、助かったよ!」)。

 

 

2. 妻の認知と行動へのアプローチ(対処法)

目標:妻のネガティブな自動思考や非生産的な行動を修正し、ストレスと身体症状を軽減する。

CBT要素 具体的なアプローチ 効果/目的
認知療法 自動思考の検証と修正 妻自身のネガティブな自動思考(例:「夫は私の努力を無視している」)を書き出し、証拠を検討する。代替の思考(例:「夫は家事の大変さに気づいていないだけかもしれない。話せば協力してくれる可能性がある」) を試みる。
行動療法 妻の行動パターンの変更 黙って家事を続ける行動を減らす。意識的に休息時間を取る。ストレス軽減のため、時間を見つけて好きな活動を行う。

分担表の作成とシステム化 夫と相談して具体的なタスクを分担表に明記し、週末などに進捗をチェックする。

 

 

3. 伝え方を工夫する(アサーティブ・コミュニケーションの活用)

家事の依頼や分担の話し合いにおいて、感情的にならず、責めずに事実と要望を伝える工夫(アサーティブ・コミュニケーション)を取り入れる。

 

具体的アクション 効果/目的
夫を主語(You) にせず、自分の感情や状況を伝える(例:「あなたはいつも何もしない」ではなく、「あなたがゴミ捨てをしてくれると、私の負担が減ってとても助かるよ」)。 夫を責めずに済むため、防衛的になりにくく、協力的な態度を引き出しやすくなる。
抽象的な表現を避ける (例:「もっと手伝って」ではなく、「今日、夕食後に食器を洗ってくれると嬉しい」)。 夫は何をすれば良いか明確に理解でき、行動に移しやすい。
夫が仕事から帰宅直後や疲れている時など、 避けるべきタイミングを考慮する。落ち着いて話せる時間帯を選ぶ。 建設的な話し合いの土壌を作る。
責めるのではなく、「一緒にやろう」という協力的な姿勢で提案する。改善点より、できたことを褒める姿勢を維持する。 夫婦の関係性を温かく保ち、夫のモチベーションを維持する。

 

 

4. 具体的なCBTベースのアクションプラン

  1. 認知の検証: 妻のネガティブな自動思考を「夫は気づいていないだけかも」という代替思考に置き換えてみる。
  2. 行動の小さな一歩と伝え方の工夫: メッセージを用いて(例:「私が助かるから」)、夫に簡単なタスク(例:ゴミ捨て)を具体的に依頼し、成功したらすぐに感謝(リワード)を伝える。
  3. 分担表の作成: 落ち着いたタイミングで感情的にならず、事実ベースで家事の分担表を作成。夫と相談して「やりやすい方法」を見つける。
  4. 気分の管理: 妻はイライラしたら、家事から離れて好きな活動を行い、感情の爆発を防ぐ。

 

あなたの心身の健康と幸せが、何よりも大切です。

家の外でも中でも奮闘する中で、無力感や怒り、失望が積み重なるのは当然のことです。それでも、あなたは毎日を懸命に生き、家族を守っています。その強さと優しさは必ず子どもに伝わっています。この分析が、あなたが抱える「見えない負担」を可視化し、一歩一歩良い方向に向かっていくでしょう!(変化は小さいですが着実に進みます)


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